シギ・チドリネットワーク

渡り鳥たちの民宿を提供・・・新たな環境保全への取り組み

東アジアオーストラリア地域渡り性水鳥重要生息地ネットワークへの参加

平成14年3月に「鹿島新籠海岸」が『東アジアオーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク』の参加地になりました。
このネットワークは、渡り鳥の生息地の生態系を保全していこうとする世界的規模のものであり、「鹿島新籠干潟」は有明海沿岸では初めての登録地となります。

また、『東アジアオーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワーク』は平成18年の東アジア・オーストラリア地域フライウェイパートナーシップの発足に伴い『東アジアオーストラリア地域渡り性水鳥類重要生息地ネットワーク』に移行し、より多くの種類の渡り性水鳥の保全を進めています。

鹿島市ではネットワークの登録をきっかけに、渡り鳥達が羽を休めることができる環境保全の取り組みを、市民の皆さんと一緒に行っていきたいと考えています。

鹿島新籠海岸に来ている主な渡り鳥たち

チュウシャクシギ
チュウシャクシギ
 

ズグロカモメ
ズグロカモメ
 

ツクシガモ
ツクシガモ
 


クロツラヘラサギ
 

シギ・チドリ類は、主に干潟、河口、湖沼などの湿地に生息し、地球規模の長い渡りをする鳥類です。鹿島新籠海岸では秋から春の渡りの時期を中心に約40種を見ることができ、特にチュウシャクシギの飛来数は国内屈指となっています。その他にもツクシガモ、ズグロカモメなどの希少な渡り鳥が多数見られる国内有数の越冬地となっており、年間を通して2万羽以上の渡り鳥が飛来しています。

渡り鳥にとって重要な有明海の干潟

図. 渡り鳥の飛来ルート

渡り鳥の飛行ルート図

シギやチドリ類の渡り鳥は、図のように、6月から8月までシベリアで繁殖し、11月から3月までは、オーストラリア付近で越冬します。最長で約12,000kmにおよぶ長い旅の途中に、有明海に立ち寄ります。

渡り鳥は干潟などの湿地に生息する生物を食べて力を蓄え、非常に長い渡りをすることから、生態系保全の指標として重要な存在です。

近年は、工場や農地などの開発により干潟が埋め立てられてしまい、休憩して食事をすることができる干潟が少なくなっています。鹿島市の干潟では、シギ・チドリ類のほかにもツクシガモ、ズグロカモメなどの希少な渡り鳥を多数見ることができ、絶滅危惧種であるクロツラヘラサギの飛来数が増加しています。

グラフ1のように、チュウシャクシギの飛来数はおおむね1000羽前後で推移しており、肥前鹿島干潟は日本有数の飛来地となっています。

 

ネットワークに参加することの意味

鹿島市では森・里・川・海の自然のつながりを一体のものと考え、環境保全活動に取り組んでいます。山では「海の森事業」で植林を、海では美化活動などの水質浄化活動を行っています。

有明海は渡り鳥にとって長い旅の途中で立ち寄り、羽休めして食事をする『民宿』みたいなもの。この民宿の主人は『市民』の皆さんたちです。旅人である渡り鳥を民宿の主人である皆さんが、暖かくもてなすことができるようになればと思います。また、今後も観察会や環境教育の実施、環境美化活動などを展開し、生息地の保護と自然豊かな有明海の保全に努めていきたいと考えています。 

有明海の再生・保存に繋げるための取組として、シギ・チドリネットワークの指定区域をラムサール条約湿地「肥前鹿島干潟」に登録しました。

ページのトップへ戻る