国(文化庁)の重要伝統的建造物群保存地区に2地区が選定されています
重要伝統的建造物群保存地区ってなに?
平成18年7月5日(官報告示)、肥前浜宿内の2地区が、国(文化庁)の「重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)」として同時選定を受け、全国に誇れる鹿島市の貴重な歴史遺産として認定されました。この地区は長崎街道多良住還の宿場町で、有明海に臨む港町として酒造業や水産加工業の栄えたところでもあります。有明海の河港に茅葺と瓦葺の町家が混在する職人町として栄えた【港町・在郷町】と、通称「酒蔵通り」で知られる宿場町と酒造業により発展した白壁土蔵の酒蔵が多く残る【醸造町】は、他の重伝建地区に例の無い町並みとして国に評価された独特の風情を体感できます。
鹿島市浜庄津町浜金屋町(はましょうづまちはまかなやまち)伝統的建造物群保存地区
~潮風そよぐ茅葺の町並み~
近世に鹿島藩の【港町】として、商人や船乗り、鍛冶屋等が住み発展したところです。海道と小路が町のフレームを形成し、道沿いや敷地背後に水路が走っています。河港の【在郷町】としての地割を良く残し、茅葺や桟瓦葺の町家が建ち並ぶ、特色ある歴史的風致を今日によく伝えています。
≪選定概要≫
平成18年7月5日選定(官報告示)
面積:約2.0ヘクタール
種別:港町・在郷町
選定基準:(二)伝統的建造物群および地割がよく旧態を保持しているもの
鹿島市浜中町八本木宿(はまなかまちはちほんぎしゅく)伝統的建造物群保存地区
~芳醇の酒造り 居蔵造町家と大型酒蔵の海道~
近世の宿場町から酒造など醸造業を中心に発展し、街路と水路を骨格とする町並みです。防火構造の居蔵造町家、土蔵造大型酒蔵、桟瓦葺真壁造町家、茅葺町家、武家住宅、洋風建築等、質の高い建築が豊かな町並みを創出し、変化ある独特の風情を醸し出しています。
≪選定概要≫
平成18年7月5日選定(官報告示)
面積:約6.7ヘクタール
種別:醸造町
選定基準:(一)伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
肥前浜宿の歴史的な町並みのまちづくり
浜地区や古枝の大村方区には、全国的に貴重な歴史的町並みが残っていますが、この貴重な町並みは次第に壊れたり無くなったりしており、個人の力だけでは維持できないところまできています。市では、この大事な歴史遺産を子どもや孫の時代まで保存するとともに、市のイメージづくりや観光資源に活用して、市および肥前浜宿を振興する計画をたてています。その一環として、伝統的建造物群の保存・活用に向け、文化庁や国土交通省等の補助事業を取り入れながら、景観の保存につとめています。
また、2つの貴重な重伝建地区を有する肥前浜宿一帯では、まちなみや伝統的な産業である酒造業を活かしたイベントが各種開催されており、特に10月の肥前浜宿秋の蔵々まつりや3月の肥前浜宿花と酒まつり
(鹿島酒蔵ツーリズム)は大勢の観光客でにぎわいます。
肥前浜宿はどんな町並み?
肥前浜宿の町並みは貴重な歴史遺産といわれていますが、どんな町並みでしょうか。肥前浜宿は中世(鎌倉・室町時代)にさかのぼる古い歴史を持った町で、港町・宿場町として近世(江戸時代)から近代(明治・大正・昭和)を通じて栄えてきました。経済力と豊かな地下水、おいしいお米によって酒造りが盛んとなり、現在でも大型酒蔵が建ち並んでいます。これらの歴史の中で、肥前浜宿には多くの白壁土蔵や茅葺町家などの伝統的な建物が残り、往事にタイムスリップした景観・イメージをつくっています。浜川をはさんで北側の大村方・八宿・中町のいわゆる『酒蔵通り』には白壁土蔵造りの町家や蔵があり、南側の庄金や舟津には茅葺町家がありと、地区によって景観が大きく変化することも町並みの特徴となっています。しかし戦後は、酒造りや店をやめたり、河川改修で移転を余儀なくされたりと、歴史的な建物や町並みの景観が失われつつあります。
肥前浜宿のまちなみ概要パンフレット
肥前浜宿は、2地区の重要伝統的建造物群保存地区を有し、それぞれに特徴的なまちなみが広がっています。重要伝統的建造物群保存地区内の伝統的な建造物で、所有者の同意が得られたものに対し、保存修理の際は国や県、市からの補助が受けられるなどの優遇措置がある一方、豊かなまちなみの景観を維持していくためのルールも存在します。
肥前浜宿~重要伝統的建造物群保存地区概要パンフレット(簡略版 PDF2,638KB)
※肥前浜宿の2地区概要紹介と特定物件・範囲図入りA4版
肥前浜宿~重要伝統的建造物群保存地区概要パンフレット(詳細版 PDF2.1MB)
※肥前浜宿の2地区紹介と各事業(保存修理事業、防災施設等事業・街なみ環境整備事業)、代表的な建築様式の紹介等
※重要伝統的建造物群保存地区内での各種手続き(現状変更許可申請等)や補助概要、景観ルールなどの紹介
肥前浜宿まちあるきパンフレット(地図面 PDF2.04MB)
肥前浜宿まちあるきパンフレット(紹介面 PDF1.71MB)
※観光案内散策マップ
※鹿島市重要文化財指定 旧乗田家住宅の紹介パンレットA4版両面
町並みのみどころ
浜中町八本木宿地区(通称「酒蔵通り」)のみどころ
継場(つぎば)
国の登録有形文化財(平成16年11月8日告示)
肥前浜宿の旧多良海道沿いにあり、江戸時代には宿場における人馬の継立などの業務を行っていたことから、「継場」と呼ばれるようになりました。江戸時代後期の建築と伝わり、明治時代には継場としての役割を終えた後は、呉服問屋として活用されていました。馬をつないだ鉄輪や、帳場が残っています。
観覧は無料で、現在は肥前浜宿の観光案内、休憩所として活用されています。
肥前浜宿をボランティアガイドがご案内します。ご希望の方は、お問い合わせください。(要予約)
休館日:火曜日・年末年始 開館時間:10:00~17:00
NPO法人 肥前浜宿水とまちなみの会 電話:0954-69-8004(※ガイド予約)
旧乗田家住宅(きゅうのりたけじゅうたく)
鹿島市重要文化財(平成17年10月7日指定)
江戸時代末期に建てられた、旧乗田家住宅は、元々は鹿島藩士、最所家の住まいでした。屋根は茅葺で、佐賀平野に特徴的な「くど造り」形式、式台付き玄関を有しています。質実で武家らしい表空間が見られる一方、畑や広い土間があり、兵農未分離であった在郷武士の生活状況をよく伝えています。観覧は無料で、飯盛酒造のそばの水路沿いに歩いていくとたどり着きます。
休館日:火曜日・年末年始 開館時間:10:00~17:00
飯盛酒造
国の登録有形文化財(平成18年8月24日告示)
大正時代の建物で、主屋、一号蔵、二号蔵、三号蔵、煙突、麹室が国の登録有形文化財となっています。
肥前浜駅から南に延びる市道が、酒蔵通りに突き当たる地点に建っています。現在酒造りは行っていませんが、入母屋造、桟瓦葺の主屋と、煉瓦造の麹室、土蔵造の蔵が残ります。煉瓦造の煙突は高さ9mで、以前の銘柄「玉の香」の文字が残っています。
※車庫の脇の小路から旧乗田家住宅へつながっています。
中島酒造場
国の登録有形文化財(平成18年8月24日告示)
浜町で最も古い酒蔵のひとつ。主屋・仕込蔵・西蔵・麹室・土蔵が国の登録有形文化財となっており、佐賀県遺産にも登録されています。
現在は酒造りは行っていませんが、店頭での小売販売を行っています。下村湖人原作の映画「次郎物語」(1987年公開)のロケ地にもなりました。
旧中島政次家住宅
国の登録有形文化財(平成18年8月24日告示)
旧中島政次家住宅は、多良海道を挟んで、中島酒造場の向かい側に位置しています。中島家本家から分家した際に建てられたと伝わり、棟木より明治27年の建築ということがわかっています。入母屋造、桟瓦葺の建物で、2階の窓には銅板張の防火扉がついており、国の登録有形文化財となっています。
※内部公開は行っておりません。
光武酒造場
佐賀県遺産(平成17年度認定)
主屋は明治14年の建築で、佐賀県遺産に認定されています。現在も酒造りを行っており、正面には、新酒ができたことを知らせる杉玉がつるされており、見どころのひとつです。酒蔵通り沿いに少し離れて、光武酒造場新宅もあり、店舗などに活用されています。
光武酒造場 光武酒造場新宅
呉竹酒造
国の登録有形文化財(平成16年11月8日告示)
主屋と東蔵は昭和初期、一番蔵は明治期の建築でケヤキなど各地の名材を用いた国の登録有形文化財です。
現在は酒造りは行っていませんが、東蔵は、酒蔵コンサートや展示会など、肥前浜宿のまちづくりの拠点として活用されてきました。
旧魚市場
この魚市場では、昭和39年まで鹿島市全体の魚を取り扱っていました。このため、この前の通りは毎朝、新鮮な魚介類を求める人々でたいへんな賑いを見せていました。正面には「魚市場」のこて絵があり、恵比寿像が祀られています。
若宮神社(わかみやじんじゃ)
慶長12年、スペインのドミニコ会が肥前で最初の教会を建てており、場所はここ一帯にあったと推定されています。3人のスペイン人宣教師は、キリシタン弾圧までの数年間、この協会を本部にして九州一円で布教活動を行っていました。
大村方酒蔵と水路
地名から、大村氏の居館と大村氏と関わりのある松岡神社の神宮寺があったと思われ、周囲には武家屋敷も残っています。往還から見えるところには、大正期の煉瓦造麹室巨大な酒蔵が水路に沿って建っています。
酒蔵通小公園
酒蔵通りの中心に位置し、トイレや休憩所のある公園です。公園は平成17年度に街なみ環境整備事業で整備され、地下式防火水槽(40t)を備えています。
中町・八宿の町並み(酒蔵通り)
浜宿の面影を最も残す通りです。酒造業が盛んになったのは、元禄年間と言われ、天保9年にはすでに9軒の酒屋の記録があります。現在も醸造中は、数軒を残すだけですが、残った白壁土蔵が往事を偲ばせます。
浜庄津町浜金屋町地区(茅葺のまちなみ)
南舟津の茅葺3棟
船乗り、漁師、鍛冶師等が暮らしていた浜庄津町浜金屋町地区を代表する景観。茅葺屋根の町家が3棟並んでおり、多良海道側から、旧池田家、旧中島家、旧中村家となっています。
庄金の町並み
庄金は、江戸時代の庄津町と金屋町の頭文字を採った名前です。庄津は船頭などが住む港町、金屋は鍛冶屋などが住む職人町でした。このことから庄金地区は、河港と旧街道の交わる交通拠点として繁栄し、にぎわいを見せていました。
夷(恵比寿)三郎の祠
この恵比寿は佐賀県でも最も古いものの一つで貞享4年(1687年)に伝えられています。
当時は文字だけのものが多く、この恵比寿の祠も「夷三郎」と彫ってあります。
移住体験施設 旧筒井家住宅
平成30年4月から、浜庄津町浜金屋町地区内の茅葺町家を改修し、鹿島市移住体験施設、旧筒井家住宅がオープンしました。
最近移住希望の増加している「肥前浜宿」の伝統的な茅葺町家で、一定期間お試し移住体験として暮らすことで、肥前浜宿・鹿島市の人や歴史、文化、まちなみの魅力を知っていただくための施設です。
一棟当たり1500円/日でご利用いただけます。※市外の方で、鹿島市に移住を検討されている方(2週間以上一カ月以内の利用)
南舟津防災公園
南舟津の茅葺3棟の隣に整備された防災公園です。平成21年~22年度に文化庁の防災施設等事業で地下式受水槽(有効容量約66t)、ポンプ2基および格納庫が整備、平成24年度に街なみ環境整備事業で公園整備されました。この受水槽は周辺の貴重な茅葺を守るスプリンクラーの水源となっています。
庄金防災公園
庄金地区にある庄金防災公園は、平成26年度に文化庁の防災施設等事業で地下式受水槽(有効容量約40t×3基)、ポンプ2基および格納庫が整備されました。この受水槽は周辺の貴重な茅葺を守るスプリンクラーやまちなみ消火栓等の防災施設の水源となっています。
平成31年4月には憩いの場としての公園整備が行われました。
庄金防災公園正面 (左) 景観に配慮したごみステーション(右)
肥前浜宿周辺のみどころ
肥前浜駅
昭和5年に、現在のJR長崎本線の肥前山口駅~肥前浜駅間の開通に伴い開設された木造駅舎です。
平成30年3月24日に復元工事とトイレ等の一部増築工事を終え、リニューアルオープンしました。現在は、肥前浜宿の観光案内所としても活用されており、NPO法人肥前浜宿水とまちなみの会が、肥前浜宿のガイドや観光案内等を行っています。
富久千代酒造
国の登録有形文化財(平成16年11月8日告示)
創業は大正末期頃とされ、麹室、一号蔵、旧精米所は国の登録有形文化財となっています。IWC(インターナショナルワインチャレンジ)でチャンピオンSAKEを受賞し、酒蔵ツーリズムの契機となった酒蔵です。
浜大鳥居(赤鳥居)
祐徳稲荷神社の参道のシンボル(高さ18m)として、昭和8年に造られました。昭和40年代までは、ほとんどの参拝客がこの鳥居を通って祐徳詣でをしたものです。老朽化のため平成19年9月に取り壊されました。
まちなみ駐車場・まちなみトイレ
平成27年3月に完成した「まちなみトイレ舟津」。大型バスも駐車可能な観光用無料駐車場です。
大型バス3台、中型バス2台、普通自動車6台(1台軽自動車用)となっています。