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一声浮立について
「一声浮立(いっせいぶりゅう)」は、佐賀県西部の有明海沿岸を中心に多く伝えられるものです。地域によっては皮浮立・太鼓浮立とも呼ばれます。鹿島市内にも10カ所近くに伝えられています。一声浮立は太鼓浮立ともいわれるように、大小の太鼓を中心に囃すもので、面浮立のような所作はありません。非常に音楽的な要素が強く、囃子(はやし)は洗練され、格調が高いものです。
一声浮立の「一声(いっせい)」とは、能の用語で、一声を独吟する能役者の登場の際に大小の鼓と笛で囃(はや)す囃子に似ていることからこの名がついたといわれます。一声浮立は大太鼓、モリヤーシ(小太鼓)・おうどう(大胴)・鼓・笛で構成されますが、それぞれの人数は参加者の人数によって変わってきます。打つ姿勢はそれぞれの浮立や太鼓の種類によってやや異なり、中腰打ち、そんきょ打ち、立ち打ちがあります。曲目は比較的少なく、基本的にマクイ(まくり)とキイモン(きりも)が交互に繰り返されます。「まくり」とは能の鼓を打つ打法のことで、「きりも」とは尾能(びのう)のことです。
能では、猩々(しょうじょう)・大江山・船弁慶などの五番目物(ごばんめもの)を尾能と呼びます。一声浮立のキイモンにも出端(では)・猩々・大江山・橋弁慶などの種類があります。この事からも一声浮立が能を起源とすることがわかります。かつて能がこの地方に伝わり、その中の舞の所作が無くなって、囃子が独立して伝承されてきたのが一声浮立といえるでしょう。